館蔵特殊コレクション摘報9(1)
艸 翁 文 庫
- 分 類 文庫9
- 収蔵数 2,461部 3,011冊(洋書のみ・平成元年3月現在整理済冊数)
- 目録等
印刷目録:(1)艸翁文庫目録(早稲田大学図書館文庫目録 予備版 昭和51年10月刊)
(2)Catalogue of foreign books in the Waseda University Library.Vol.7,pt.3.p.2785−2818.「艸翁文庫」1988年3月刊(昭和50年4月〜59年3月の間に受入れたものについて収録)
その他:洋書著者名目録(冊子第6篇中、及びカード)・洋書件名目録(カード)WINE検索(昭和50年4月以降受入れ分について)も可能
- 収蔵(設置)年とその経緯
昭和46年文庫として設置。現在も受入継続中。小松芳喬教授による寄贈書。氏は大学院生であった昭和5年にすでに図書館に和洋の図書の寄贈を始められていた。寄贈された図書は最初一般図書の中に分類配架されていたが、洋書については、昭和41年以降の寄贈本までさかのぼって同46年に文庫として独立させることになった。なお和書はそのまま継続して一般図書として分類配架されている。現在も寄贈を続けられており、今後ますます充実したコレクションとなることが予想される。
- 収書の特徴
イギリス経済史が中心であるが、経済学、経経史にとどまらず、歴史や社会科学全般から哲学、宗教に至るまで幅広い内容である。中には、Edinburgh review(v.1−92)や、E.M.Edin,The state of the poor(v.1−3)などを初めとする多くの貴重書が含まれている。
- 収書者
小松芳喬:東京生。明治39年(1906)4月1日生。経済学者。経済学博士。早稲田大学名誉教授。日本学士院会員。大正14年3月早稲田大学附属第一早稲田高等学院修了、同年4月早稲田大学政治経済学部経済学科入学。昭和3年卒業後、大学院に進む。昭和8年同学部助手、同9年講師となる。昭和12年から約1年半英国に留学し、主にロンドン大学で経済史および経済学史を専攻。帰国後昭和14年に助教授、同17年教授。昭和35年「イギリス第一次農業革命期の研究」(主論文)により経済学博士。図書館副館長、国際部部長、大学院経済学研究科委員長、政治経済学部長を歴任。また昭和45年より51年定年退職まで大学史編集所所長をつとめた。現在も早稲田大学名誉評議員、大学史編集所嘱託として活躍されている。
近世初期や産業革命期のィギリス社会経済史の研究、及びイギリス学界の成果の導入につとめられた。著書に「封建英国とその崩壊過程」「ハイ・テイブル イギリス随想」など。訳書にマルサス「経済学に於ける諸定義」他。論文・書評にも数多くの業績を残している。なお、艸翁文庫の名の由来は、図書購入に際し、その資金援助を惜しまれなかった父君、蓊氏にちなんで「艸翁」とすることを小松教授自身が希望されたことによる。(文責:多田智子)