![]() 本のあれこれ 明治期資料マイクロ化事業室
文庫本サイズの短編集『自然と人生』は、なぜこんなに版を重ねて読まれたのか。また1回ごとに何部位印刷したのだろうか?本館に所蔵している版は上記の版だけなので、最終的に何版まで出版されたのか不明だが、ここで見るだけでも18年間に146版まで出している。その上当館所蔵のものをつき合わせてみると、5冊全てに訂正した跡がある。146版全てに訂正があるとは思えないが、少なくともここにある5冊は変更した箇所がある。内容を書きかえてあるわけではないが送り仮名や誤字を訂正してある。民友社は明治20年に、徳富蘇峰が創立した出版社であり、弟の蘆花は明治22年から35年までここで働いている。自分自身の著作なので、気になって直したのか、民友社は元々丁寧な仕事をモットーにしていた出版社なのか。今後も気を付けて調べてみたいと思っている。またこの本を『国立国会図書館明治期刊行図書目録』中に見付けることは出来なかった。念のため大正期のものはどうかと調べてみたが、そこにも見当たらなかった。これは一体どういうことなのだろうか。150版近くも版を重ねているベストセラーが当時内務省の検閲を受けず納本されなかったのだろうか?不思議でしかたがない。 図書館ホームページへ Copyright (C) Waseda University Library, 1996. All Rights Reserved. Archived Web, 2002 |