館蔵特殊コレクション摘報11(2)
GOW文庫
- 分 類 文庫16
- 収蔵数 1,577部 2,052冊
- 目録等
印刷目録:(1)GOW文庫目録(早稲田大学図書館文庫目録 第9輯 昭和56年7月刊)
(2)Catalogue of foreign books in the Waseda University Library.Vol.7,pt.2,p.1715-1816「GOW文庫」1988年3月刊
その他:洋書著者名目録・件名目録(ともにカード)。WINE検索も可能。
- 収蔵(設置)年とその経緯
昭和54年収蔵
Cambridge大学の古典学教授で、ヘレニズム期の詩人Theocritusの校訂者とじて知られる故 Andrew Seydenham Farrar Gow の旧蔵書のうち一部(雑誌・美術書など)を除いて当館が一括購入した。
- 収書の特徴
Theocritus の校訂者としての彼の関心・研究活動を反映して、Theocritus を代表するヘレニズム期の詩文学のテキストが中心を成し、さらに広く古典学研究にかかわる資料も多数含まれている。
- 収書者
Andrew Seydenham Farrar Gow:1886年8月27日 London に生まれる。Rugby 校を経て Cambridge 大学の Trinity College で古典学を学ぶ。1910年、後期ギリシャ喜劇に関する研究で学位を取得後、Eton校で教鞭を取る。1925年 Trinity College の古典学のフェローとなる。1934年に British Academy の会員に選出され、1947年には Cambridge 大学よりBrereton Readership in Classics の席を与えられる。
Theocritusの研究者としての評価を決定的にしたのは、1950年 Cambridge Univer-sity Pressから出版された Theocritus の2巻本であった。しかし彼の研究の成果は Theocritus にとどまらず Nicander(Trinity College の図書館長、のちにCambridge大学館長のA.F.Scholfieldと共編)、Machon、ヘレニズム期のエピグラムなどの校訂にもあらわれている。Gow 自身の最初の著作は Alfred Edward Housman(1859-1936)の伝記と書誌(1936年刊)であった。A.E.Housman は彼と同じ1925年に Trinity College のフェローとなり、彼の才能を早くから認めていて、終生彼の理解者であった。本文庫のラテン文学関係の書物には、from the library of A.E.Housman という蔵書票を貼ってあるものがかなり見受けられる。
Gowは若い頃より美術への関心が深く、特に絵画への関心は一生変わらなかった。1934年にはイタリアルネッサンス期の絵画に対する深い知識によりCambridge大学の Fitzwilliam Museumの評議員に選出されている。彼は美術品や絵画写真のコレクションを持っていたが、死後ドガ、ルノアール、ロダンらの作品はNational Art Co11ection Fundヘ、膨大な数の絵画写真のコレクションはNational Galleryへ寄贈された。またFitzwilliam Museumには数多くの貴重な美術書だけでなく、美術品購入のための基金がGow Fundとして寄贈された。
(文責:村上千津子)