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図書館クリスマスカード 2002
唐糸草紙
唐糸草紙
室町末期写本 1巻 紙本彩色
『
唐糸草子』は室町から江戸初期にかけて作られた「御伽草子」と総称される短篇小説の一つで、
木曽義仲の家来の娘で源頼朝暗殺の命を帯びた唐糸と、その娘万寿の物語である。
図は万寿が鶴が岡八幡宮で今様を歌い頼朝を感激させて、囚われの母を救う場面である。
本絵巻は現在知られている『唐糸草子』の諸本中唯一の絵巻で、書写年代も古い貴重な伝本である。
唐糸草子
寿永2年(1183)頼朝の義仲追討計略を背景にしている。
鎌倉殿に女房として仕えていた唐糸が信濃国にいる父の手塚太郎金刺光盛(てづかのたろうかなざしのみつもり)に義仲の危機を伝え、
頼朝暗殺をはかるが、発覚して捕らえられる。信濃国に残された娘の万寿(まんじゅ)は母の消息を探りに素性を隠して鎌倉に奉公し、
石牢に囚われていた唐糸に再会する。その頃頼朝の座敷に6本の小松が生えるという奇瑞が現れ、
鶴が岡八幡宮の玉垣に小松を移して12人の美女に今様を歌わせて奉納することになったが、
その一人に選ばれた万寿の歌と舞に頼朝は感激し、神殿の玉の扉も開いて八幡の神も御納受とみえた。
後日褒美をとらせるといわれた万寿は素性を明かして母の命乞いをし、赦された二人は帰郷する。
孝行譚であり、歌徳・舞徳譚、八幡霊験譚の要素をもとりこんだ作品である。
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First drafted Octber 22, 2002
Last revised November 11, 2005