会期 | : | 1998年5月11日(月) 〜 5月17日(日) |
会場 | : | 早稲田大学総合学術情報センター 2階ロビー |
時間 | : | 10:00 〜 17:00 |
図書館の貴重書 古活字版(こかつじばん)とは、宣教師が伝えた金属活字や、豊臣秀吉の朝鮮侵攻の際戦利品として持ち帰った朝鮮銅活字版の書物などをわが国でまねて、 木で活字をつくり、それによって印刷された本のことをいいます。江戸時代初期の約50年の間に、この方法によってたくさんの書物がつくられましたが、 活字版をつくるのが厄介なうえに多くの部数を刷れないので、江戸中期以降はすたれ、 一枚の板に2頁分の版を彫って印刷する木版整版印刷が主流となり、わが国は整版印刷の木版本によって、 当時世界にも類をみないほどの出版文化を現出させたのです。 しかし、その前の段階に、日本にも活字による印刷が行われていた時期が、わずかながらあったということは、 あまり知られておりません。古活字版は刷り部数がすくなかったので、今日まで伝わっているものはあまり多くなく、 宣教師たちが刊行した「きりしたん版」などとならんで、今日では大変貴重なものとなっています。 古活字版のなかで名高いのは、本阿弥光悦が活字の版下を書いたとされる「光悦本」、別名「嵯峨本」であり、 書物工芸上善美をつくした美しい本です。 早稲田大学図書館には、さほど種類は多くありませんが、いくつかの古活字版の書物が所蔵されています。 これらは、中世から近世にいたる時期に出されたものであり、たんに稀覯書というだけでなく、 テキスト的にも大変重要なものといえます。 『萬葉集』、『平家物語』、『太平記』、『花伝書』など、日本文学史をかざる名作・名著を、約10点、 すべて古活字版でたどってみることにしましょう。地味ですが、大変贅沢な展示です。 |
花伝書 |