展覧会のご案内

早稲田大学芸術功労者表彰記念展示
「澤地久枝・三浦哲郎」展
会期  :  2003年11月11日(火) 〜 11月25日(火) (日曜・祝日は閉室)
会場  :  早稲田大学総合学術情報センター 2階展示室
時間  :  10:00 〜 17:00

現代を代表するノンフィクション作家、小説家の自筆原稿、著書、関連諸資料を多数公開


澤地久枝
「滄海よ眠れ−ミッドウェー海戦の生と死」

三浦哲郎
「忍ぶ川」
  早稲田大学では、創立百周年を記念し、芸術の振興に顕著な功績のあった卒業生(校友)を表彰することを目的として、 1984年12月に『芸術功労者表彰規程』を制定しました。これに基づいて、永年にわたり芸術の各分野で多大な貢献をなさった70歳以上の、 文化功労者・日本芸術院賞受賞者・重要無形文化財保持者(人間国宝)に指定された方およびこれに準ずる方の中から選定し、芸術功労者として表彰しています。

  本年3月、あらたにノンフィクション作家澤地久枝氏(1954年第二文学部国文科卒)、小説家三浦哲郎氏(1957年第一文学部仏文科卒)のお二人が表彰されました。 今回の展覧会はお二人のこれまでの業績を顕彰するものです。

  澤地久枝氏は1930年東京生まれ、幼少期にご尊父の仕事の関係から、中国東北部(満州)へ渡り、そこで敗戦を迎えました。18歳の時中央公論社に就職、 そのかたわら1950年早稲田大学第二文学部国文科に入学されました。1954年に卒業後、10年ほどの編集者生活ののちに、 五味川純平氏の資料助手として『戦争と人間』の執筆を助け、1972年に『妻たちの二・二六事件』を出版し、 本格的な執筆活動に入りました。その後、事件の当事者たちからの綿密な聴き取り調査を中心に、 周辺諸資料の詳細な検討を加えた実証的な著述は、ノンフィクションという枠を越え、 「昭和の語り部」としての独自な歴史ドキュメンタリーの世界を構築しています。

  三浦哲郎氏は1931年青森県に生まれ1949年早稲田大学政治経済学部に入学しましたが翌年家庭の事情から休学、 郷里で中学校教員となりますが、文学を志し1953年に早稲田大学第一文学部仏文科に再入学しました。 翌1954年、友人と同人誌『非情』を創刊、実質的な処女作「誕生記」を発表すると、 それが同大学教授であった作家の小沼丹氏の眼にとまり、さらには小沼氏の紹介で井伏鱒二氏の知遇を得、 師事することになりました。文学部在学中に『新潮』に掲載された「十五歳の周囲」が第2回新潮同人雑誌賞を受賞、 1957年の卒業後は自らの半生や家の問題に真正面から取り組んだ執筆活動を精力的に続けてゆきました。 その作品は巧みな文章表現で多くの読者を得る一方、文壇での評価も高まり、「忍ぶ川」で芥川賞(第44回・1961年)を受賞したのを皮切りに、 1976年第29回野間文芸賞(『拳銃と十五の短篇』)、1985年第12回大佛次郎賞(『白夜を旅する人々』)、1991年第2回伊藤整文学賞(『短篇集モザイクI みちづれ』) など多くの文学賞を受賞しています。

  今回の展覧会では、お二人の全面的なご協力を得ることができ、自筆原稿をはじめ、これまで未公開の学生時代の写真や、 澤地氏の取材ノートなど、貴重な資料が展示されます。
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First drafted November 4, 2003
Last revised November 17, 2005