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早稲田大学図書館では、平成元年(1989年)、文学部元教授澤田瑞穂先生のご意向により、その蔵書を風陵文庫と命名し、収蔵することとなった。爾来内外から一日も早い公開を望まれていたが、1999年4月漸く整理を終え、目録を刊行することができた。 同文庫(文庫19)は、清末・民国初期に巷間に広く流布した曲藝唱本や、その一つの源流ともいえる宝巻を中心とし、更に年画・宗教資料をも含む多様な資料群であり、他に類例を見ない。これ等の資料は、人々の生活・心情に根ざした、まさに庶民の息吹そのものであり、そこに澤田先生の収集及び研究に対する卓越した視点があったものと思われる。 このたび、「風陵文庫目録」の刊行に際し、清末・民国初頭の庶民文芸の世界と題し、同文庫のもつ一側面を紹介展示することとした。中国文学といえば、とかく唐宋の詩文をはじめとする士大夫の世界を連想しがちであるが、本展示を通じて、往時庶民に愛された文藝世界の一端を感じ取っていただければ幸いである。