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12.ルカ・パチョーリ『算術、幾何学、比例、比率全書』(ヴェネツィア、1494年) |
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LUCAS DE BURGO S. SEPULCHRI, ca. 1445-1517
Somma di arithmetica, geometria, proporzioni e proporzionlita.
Prelim: Fa. Pompilius: Epigramma ad lectorem. Giorgio Sommariva:
Epigramma ad auctorem (I, II).
Venice : Paganinus de Paganinis, 10-20 Nov. 14[9]4.
Folio. 307 of 308 leaves (leaf 44 wanting).
311x217 mm. Bound in quarter modern brown calf over wooden boards.
Prov.: Prof. Kyojiro Someya.
Ref.: HC(+Add) 4105; BMC V 457; ISTC il00315000; IJL 201.
[略語の解説はこちら]
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パチョーリはトスカーナ地方の小都市サンセポルクロ出身の数学者。郷里でルネサンス時代を代表する数学者にして大画家であったピエロ・デッラ・フランチェスカに師事し、次いでヴェネツィアで商家の子弟の家庭教師を務める傍ら実用数学を学んだ。そして、フランチェスコ修道会の修道僧としてイタリア各地で数学や幾何学の教鞭を取った。本書は彼の著作の中で最初に印刷された数学全書であるが、彼のオリジナルな著書というよりも当時の数学的知識をまとめたものである。本書を印刷したパガニーノ・ダ・パガニーニは木版画を多数挿入する印刷の経験が乏しかったため、苦労して本書を印行したと思われる。そのため、パチョーリ自ら印刷に立ち会って指導したという。本書は我国でもよく知られたインキュナブラである。それは最初に印刷された複式簿記論が本書の205葉裏から218葉裏にかけて含まれており、簿記書の原典として高く評価されているからである。本書の初版には3種類の異版が知られている。イタリアのインキュナブラ総合目録で7132、7133、7134の番号で区別されている。このうち、7132が初版第1刷であり、最も現存数が多い。館蔵本もこれにあたる。7134は1502年に29葉分の版を組替えたものであり、7133は1509年以降にさらに一部を替えて成立したとみなされている。なお、本書の第2版が1523年に北イタリアの小都市トスコーラノで刊行されている(本学所蔵)。
館蔵本は、「フィンガーサイン」で数字を表す木版画が印刷された第44葉を欠く不完全本であり、近代になって改装されたものである。早稲田大学名誉教授故染谷恭次郎氏旧蔵書。我国では本学以外にも大阪学院大学、大阪商科大学、神奈川大学、久留米大学、慶應義塾大学、神戸大学、専修大学、日本大学商学部、広島経済大学で所蔵されている。神戸大学本は7134であり、他は全て7132。
参考文献:我国パチョーリ簿記論の軌跡 上下巻 片岡泰彦編 東京 : 雄松堂書店, 1998.6
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