貞門の俳人、野々口立圃(1595-1669)の自筆句合画巻。十二支の動物に装束を着せて一対ずつ左右に向かわせ、立圃自作の発句を合わせたもの。動物の組み合わせは、辰と戌、巳と亥のように、7番目同士を合わせる「七ツ目」というめでたい組み方で配列されている。最初の辰と戌の組には、辰に「夕立の水上いづこたつの口」、戌に「犬山やふるもまだらの雪の色」とある。奥書に「七十二老」とあり、寛文6年(1666)の染筆とわかる。
立圃は松江重頼と並び称された貞門の重鎮。のち貞徳のもとをはなれ一流派をひらいた。雛人形屋を業とし、若くして連歌・和歌・書を学んだ。絵は晩年の習事と伝えるが、「書画は習はずして自由自在に書ちらし」(『立圃追悼集』)とも見える。元禄以後の俳画の盛行は立圃に端を発するともいわれている。
本画巻の、淡彩をほどこした動物たちの飄々たる姿は、立圃晩年の円熟の境地を伝え、数多い立圃自筆資料のうちでも秀作ということができる。横山重旧蔵。