早稲田大学図書館所蔵貴重資料
ユーゲント
請求記号: SF134
ユーゲント
Jugend. 1896(Bd.1)−1918(Bd.2).(「ユーゲント」)
19世紀末から20世紀初頭にかけてヨーロッパではさまざまな芸術運動が展開された。それに伴って、各地で多くの美術雑誌が創刊される。
本学図書館にはそうした美術雑誌が各種所蔵されているが、ここではその中からドイツの『ユーゲント』を紹介しよう。
『ユーゲント』の創刊は1896年。ゲオルグ・ヒルトによって誕生した総合イラスト週刊誌で、1940年まで刊行された。
『ユーゲント』はわずか20ページにも満たない小冊子であったが、石版刷りの色調の斬新でファッショナブルな表紙、
ヨーロッパ各地で流行した服飾に関する豊富な情報、ウィットに富んだ風刺漫画、新発売の商品の広告などがふんだんに盛り込まれ、
世紀末のミュンヘンで爆発的成功を収めた。
この『ユーゲント』が語源となって生まれたのが「ユーゲントシュティール(Jugendstil)」という芸術運動である。
ユーゲントシュティールとはドイツ語で「青春の様式」を意味し、1890年代半ばから1907年頃までのミュンヘンの、
若き芸術家の創作活動を総称していう。一般に
アール・ヌーヴォーという名称で知られる芸術運動がドイツ・
オーストリアに波及した後、そう呼ばれるようになった。
当時の美術や建築、家具、工芸、ガラス製品、書物の装丁、ポスターのデザイン、ファッションなどの芸術活動を総称して
「世紀末芸術」と呼ぶ。この芸術活動の特徴として流れるような曲線と平面的な装飾性などがあげられるが、
『ユーゲント』に掲載されたイラストにもその傾向は少なからず現われている。
アール・ヌーヴォー
「新しい芸術」の意。19世紀末、イギリス・ベルギー・フランスに興り、ドイツ・オーストリアに波及した。植物の枝や蔓を思わせる曲線の流れを特徴とする。ミュシャ、クリムト、ガレ、ガウディなどがその代表者。
* このページは、早稲田大学学生部発行「早稲田ウィークリー」所収「早稲田の貴重書」に若干修正を加えたものです。
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First drafted Febrary 18, 1998
Last revised November 25, 2005