中国の民間信仰と庶民文芸 Popular literature and folk religion in China

民間信仰と文芸

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その他の民俗資料

 
紙錢

 冥界のお金。焼紙あるいは光明、往生銭ともいい、焼いて先祖の霊、野鬼孤魂や神仏祖師に手向けとする。金紙や銀紙でつくられるものもあり、用途によって異なる。

包袱

 紙銭や金銀製の元宝(お金)を入れた紙袋。旧時、北京などにおける漢族の祭祀風俗では、毎年清明節、七月十五日、十月初一日に各家庭あるいは祠堂で先祖をまつる際、これに名前を書いて焼き供養した。

路引

 冥界の通行証として広く流行し、紙銭等とともに焼かれた葬送用品。特に異郷に客死した場合、魂が帰郷する際に路引あるいは路憑と呼ばれる道中手形が必要だとされ、古くは宋代にその原型があったといわれる。路引は焼いて死者の魂とともに冥土へ送るものなので現物が残ることは少ない。木版刷りの一枚物で、一般に亡者の道中の便宜供与を依頼する文面で、死者の貫籍・姓名・生年月日を書き入れるようになっている。『四川鄷都山冥土路引』は道教系のもので、北方泰山府君と並ぶ冥界の神・鄷都大帝が発給する形となっており、路引を持つものは罪が赦され三途に堕ちることなく六道を越えることができるとし、もし道中の関所で妨げる者があれば鄷都に拘引して罰するというものである。また『西方路引』は少し趣を異にする仏教のもので、北京鑑光斎刻字舗製である。慈航観音普度の船を刻し、この路引で念仏に代えることができる旨功過格風に記されており、毎年清明節に阿弥陀仏を念じ金錠紙焼して供養すれば福寿を増長するとあり、さらに“虔心持誦広大霊威”と効能までついている。

皮影戯

 「燈影戯」「影子戯」「弄影戯」ともいう。その起源は古く、宋代には羊皮を切りぬき彩色を施したものがあったといわれるが、往時北京で行われたものは一般に「灤州影戯」と呼ばれ、東城派(灤州皮影)と西城派(涿州皮影)とがあり、最盛期には三義班等二十余の戯班(劇団)があった。影巻(皮影戯の台本)では出場詩および入場詩・説白・唱句からなり、唱句は凄絶悲壮な梆子調を基調とし、大鼓や南弦子等の伴奏をともなう。影偶は東城派では驢皮に彩色を施し桐油を塗布し、燈火で照らして綿紙のスクリーンの裏側から映ずる。表演には少なくとも九人は必要とされる。