早稲田大学の日本史研究の歴史は、古文書学、文献資料研究の歴史でもありました。今日でこそ当たり前のこうした研究方法を定着させるのに、早稲田の先人たちの果たした役割は大変大きなものがあります。戦前、
久米邦武や
津田左右吉は周囲の批判に屈することなく、自らの研究成果をひるむことなく公表し、学界の発展に大きく寄与しました。また、
西岡虎之助、
洞富雄、
竹内理三、
荻野三七彦らは、自ら史料の収集、採集に尽力する一方で、後進の指導にも力を注ぎました。その謦咳に触れ育った研究者たちが、今日の歴史学界でも大きな役割を果たしています。特に古文書の原本収集に力を注いだ荻野は、本学図書館に重要文化財3件を含む多くの貴重な資料を残してくれました。
他に幕末の動乱を生き、明治政府の重鎮として存在感を示していた
田中光顕と、図書館長
市島謙吉(春城)との交流から館蔵となった『維新志士遺墨』や『東大寺薬師院文書』(重要文化財)なども、重要な史料群です。