早稲田大学所蔵 蘭学資料展

2000年6月〜8月、ボン(ドイツ)、ライデン(オランダ)で開催

早稲田大学図書館

早稲田大学図書館の代表的コレクションの一つである蘭学(洋学)資料の展覧会が、6月から8月にかけて、ドイツ・ボン大学とオランダ・ライデン大学で開催されます。本学の所蔵資料がまとまった形で海外で展示されるのは初めてのことであり、話題を呼んでいます。展覧会の正式なタイトルは「RANGAKU:日本の江戸時代における西洋自然科学」。約40点の貴重な資料が海を渡ります。



* 会期・会場:

   2000年6月21日(水)〜7月13日 (木)
       [ボン大学付属数学博物館]

    当展示会について案内しているボン大学のホームページ

   2000年7月18日(火)〜8月5日 (土)
       [ライデン大学中央図書館]

* 主催:早稲田大学、ボン大学、ライデン大学

目録(ドイツ語)

*おもな出品資料
  • 杉田玄白肖像(重要文化財・複製)
  • 芝蘭堂新元会図(重要文化財・複製)
  • 重訂解体新書
  • 和蘭船図説
  • 舎密開宗
  • ドドネウス草木譜
  • 江戸ハルマ
  • 長崎ハルマ(ドゥーフハルマ)
  • シーボルト外科証明書
  • 金海奇観
  • 蘭東事始(蘭学事始)
  • その他


杉田玄白肖像  (Sugita Genpaku Shozo)

■杉田玄白肖像(部分)絹本着色。石川大浪画、杉田玄白自賛。原本。1812(文化9)年、1軸。69.5×28 cm . 重要文化財(大槻玄沢関係資料のうち)

「蘭学」展 開催にあたって
     早稲田大学総長 奥島孝康


 このたび、伝統あるボン大学とライデン大学、ならびにわが早稲田大学の共催により、早稲田大学図書館所蔵資料による「蘭学――日本の江戸時代における西洋自然科学」展が開催されることを、たいへんうれしく思っています。
 19世紀の半ばまで鎖国していた日本が、明治維新ののち急速に近代国家への道を進んでいったときに、その中心的な原動力となったのが「蘭学」であります。長崎のオランダ商館を外国への唯一の窓口としていた江戸時代の日本にあって、1774年、杉田玄白らによる西洋解剖学書の翻訳であった「解体新書」の出版を契機として、医学、薬学、天文学、植物学、化学などに見られるヨーロッパの科学・技術のすぐれていることが認識され、オランダ語を通じて、その知識がとりいれられるようになりました。19世紀のはじめには、江戸の徳川幕府内にも西洋の書物を翻訳するための部局が設置されましたが、「蘭学」は、なによりも、大槻玄沢の芝蘭堂、シーボルトの鳴滝塾、緒方洪庵の適塾といったような、民間の「私塾」において、多くの若い優秀な人々が勤勉に学び、日本の文化・伝統とはまったく異なる知識・文化を摂取していく過程で形成された学問です。その蓄積が、アジア諸国にさきがけて近代化をなしとげた明治の日本をつくったと言っても過言ではありません。早稲田大学の創立者、大隈重信も、若い日に長崎にあって、ヨーロッパの文化や政治思想、法律などを学んだ一人でした。
 早稲田大学図書館には、日本にヨーロッパの科学・技術をとりいれるため苦闘した先人たちののこした書物や資料が、比較的豊富に集められております。ドイツにおける「日本年」、また、日本・オランダ修好400年にあたる本年、西暦2000年に、シーボルトの故国であるドイツと、蘭学の源流の国であるオランダで、この展覧会が開催されますことは、たいへんに意義のあることと思います。  この展覧会開催に賛意を示されたボン大学総長ボルヒャルト博士、ライデン大学総長フレーデフート博士に、まず心より敬意と感謝を捧げます。と共に、展覧会開催のためにご尽力いただきましたボン大学のクライナー教授、コルテ教授、ライデン大学図書館のウィトカム博士、ならびに、この展覧会のアイディアを最初に示された早稲田大学アジア太平洋研究センターのラドケ教授をはじめとする関係者の皆様に、深甚なる感謝の意を表します。



2000年6月 東京



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First drafted June 15, 2000
Last update September 22, 2000