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Illustrations


源氏物語 ははき木 三枚続
歌川国貞(一世)画 江戸末期刊
文庫30 B0006

帚木巻で、源氏や頭中将らが自らの体験談をもとに女性論交わす「雨夜の品定め」は、物語前半の一つのヤマ場ともいえる。これはその中の左馬頭の話を絵にしたものである。

源氏物語 うつ蝉の巻 三枚続
歌川国貞(一世)画 江戸末期刊
文庫30 B0007

帚木巻で伊予介の後妻である空蝉と一夜を共にした源氏は、彼女のもとを再訪、軒端荻(伊予介の先妻の子)と碁に興じるその姿を垣間見る。

源氏物語 わか紫巻 三枚続
歌川国貞(一世)画 江戸末期刊
文庫30 B0008

「伏籠の中に捕えていた雀の子を犬君(いぬき)が逃がしてしまったの」と言って泣く若紫を源氏が小柴垣の陰から垣間見るという、物語の中でも有名な場面を描いたもの。女性たちは平安時代というより江戸の風俗に身を包んでいる。

源氏物語 明石の巻 三枚続
歌川国貞(一世)画 江戸末期刊
文庫30 B0010

帝の寵愛を受ける「朧月夜君」との関係をもとに政争に敗れた源氏は、須磨に流罪となるが、浜での祓の最中に暴風雨に見舞われ明石へとたどりつく。風雨のおさまった空には月が輝き、源氏の前に新たな道が開けてゆく。物語の一つの転機を描いたものである。

源氏物語 わかなの巻 三枚続
歌川国貞(一世)画 江戸末期刊
文庫30 B0011

蹴鞠に興じる男たちの中で一人右端の人物が御簾の奥の女性と視線を交わしている。柏木と女三宮、二人の劇的な出逢いを鮮やかに描き出している。

源氏五十四帖 一帖 尾形月耕画
明治二五−二八年(1892-1895)刊
文庫30 B0314

近代の代表的な錦絵作者にして挿絵画家の尾形月耕が描いた『源氏物語』五十四帖の錦絵。各巻の特徴的な場面を効果的に取り上げているとともに色遣い、構図などに江戸の錦絵とは異なる明治の雰囲気を漂わせている。

紫式部石山源氏綴 一帖 歌川芳豊画
江戸末期刊
文庫30 B0316

五十四帖のうち、「桐壺」から「松風」までの巻までの小判錦絵を貼り込んだ画帖。石山寺に参籠して物語の構想を錬る紫式部の像が含まれる。筆者の初代歌川芳豊は、歌川国芳(1797〜1861)の弟子。

源氏物語画帖 一帖 狩野氏信・秀信画
江戸初期写
文庫30 B0377

各巻の特徴的な場面を絵と詞で表している。詞書の筆者は不明であるが、絵は江戸時代初期の画家、狩野氏信(1615〜69)と、その息子である秀信(1646〜1712)作であることがわかる。末尾の絵には詞書がなく、本文のない雲隠巻ではないかと推測されている。

源氏香の図
歌川国貞(一世)画 江戸末期刊
文庫30 B0379

源氏物語各巻を、香図と歌、そして絵画で表現している。国貞(一世)の源氏絵と言えば『偐紫田舎源氏』の挿絵から生まれた「足利光氏」やその周辺の人々を描いたものが多いが、これは十二単や烏帽子姿といった、どちらかと言えば王朝風の雰囲気を持つ作品である。

源氏物語絵巻 若菜下 一巻
烏丸光雄詞 土佐光成画 江戸初期写
文庫30 B0422

『源氏物語』の「若菜下」の巻より、六条院での女楽の様子を描く。源氏と4人の女性(紫上、明石女御、明石君、女三宮)と御簾の外で箏の調弦をする源氏の息子、夕霧の姿が美しい。詞書は江戸の歌人、烏丸光雄の手になるものである。

源氏物語絵巻 二巻 狩野祐清画
江戸末期
文庫30 B0423

狩野祐清(邦信、1787〜1840)は狩野派宗家・中橋狩野家の十四代目。江戸城の絵事のほぼ全般を司る「奥絵師」として仕え、活躍。桐壺巻から朝顔巻までの各巻から、ほぼ一場面ずつを選び取り、描かれている。

源氏物語絵詞 五巻 中院通勝編
天正二十年(1592)写
文庫30 B0424

もとは、中院通勝(1558〜1610)の詞書と、海北友松(1533〜1615)の絵による絵巻として存在していたようだが、現存するのは詞書だけである。奥書によると「或る人」からの求めに応じて作成されたらしい。

源氏物語画帖 一帖
甫正画 品田入山ほか筆 江戸中期写
文庫30 B0425

各巻の特徴的な場面を抜書きし、その絵を墨一色で描いている。白描でありながら、金の雲が華やかな雰囲気を醸し出している。詞書は複数の手になるもので、絵師の甫正については不詳。

源氏物語扇面画帖 一帖
江戸初期写
文庫30 B0426

『源氏物語』五十四帖から各帖一場面ずつを、詞書の色紙と扇面絵に仕立てて見開きに貼付している。住吉如慶画、備前岡山藩主池田光政の詞書と伝えられる。

源氏物語絵巻断簡 須磨 一軸
室町末期写
文庫30 B0417

『源氏物語』須磨巻において、須磨に下る光源氏が離京の挨拶をするために花散里のもとを訪れ、和歌を詠み交わす場面を描いている。室町時代には、このような白描の源氏物語絵巻が多く作られていた。

源氏物語絵巻断簡 野分 一軸
室町末期写
文庫30 B0427

『源氏物語』野分巻の冒頭の本文「中宮の御前に、秋の花を植ゑさせたまふこと、常の年よりも見所多く、色種を尽くし、黒木赤木の籬を結ひまぜつつ、朝夕霧の光も世の常ならず」を抜書きし、この場面を描いている。