「早稲田大学創立125周年記念シンポジウム:角田柳作—日米の架け橋となった“Sensei”—」開催報告
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角田先生の思い出(1) 010203040506
甲斐美和 元コロンビア大学図書館司書(録画)

宗像和重(早稲田大学図書館副館長):続いて甲斐美和さんのインタビューです。甲斐さんは長い間コロンビア大学C.V.スター東亜図書館で司書としてお勤めになり、この間角田柳作先生のお仕事を献身的に支えてこられました。また、角田柳作が亡くなった後、その蔵書を長年にわたって独力で早稲田大学図書館に寄贈いただきました。その蔵書等を基にした角田柳作記念文庫がこの度図書館の中に開設される運びになりました。この建物の2階の図書館展示室でもその小展示を行っていますので、ぜひご覧いただければと思います。このインタビューは、甲斐さんが長年お勤めになっておられた東亜図書館の閲覧室で行いました。約20分ほどの日本語によるインタビューです。それではどうぞお聞きください。

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宗像和重(早稲田大学図書館副館長):最初に、角田先生に始めてお会いになられたことのときをお伺いしたいのですが、むしろそれ以前に甲斐さんがこのコロンビア大学にお勤めになられる経緯、いきさつをぜひ伺えればと思います。
甲斐美和 元コロンビア大学図書館司書甲斐美和:1945年だったと思います。戦争中収容所に入れられていましたので、そこから出てきて、コロンビアの近所のお友だちのところに一晩、二晩、お世話になったときに、実は初めてコロンビアということを知りました。というのは、前は全然勉強していませんでしたので、そういう学問のことは存じませんでした。それで、近くにコロンビアがあるからというので、お友だちが仕事に出られた後、散歩がてらに見にきましたら、それがきっかけとなって、コロンビアに就職することになるのですが。
宗像和重(早稲田大学図書館副館長):そういうご経験の中で、東洋の部のところに角田柳作先生がすでに所属されていらっしゃったわけだと思います。角田先生とそこで初めてお会いになったときの第一印象や出会いの様子を甲斐さんは覚えていらっしゃいますか。
甲斐美和:実は、どういう先生がおられるかも全然知識はなかったのです。1週間くらい図書館の仕事を覚えるために一生懸命だったのです。どんな先生がおられるかも知らないし、知ろうともしなかったのです。4〜5日経ってから、参考書類が閲覧室にありますから、それを調べに角田先生がちょいちょい出入りなさっていたのです。角田先生のオフィスはすぐ隣なのです。こちらは気がつかないで、いろいろな人が参考書を見にきますから。それでどなたかも知らないでいたのです。あるとき本を運ばなければいけないことになりまして、オフィスに初めて入っていったのです。そこに先生がおられたので、お辞儀して自己紹介もしないで出てきました。本当にこちらはボンクラなのです。そうしているうちに、ほかのアメリカ人のノースという先生が同じ部屋で、その先生があるとき同じ部屋におられたのです。その先生は私と初対面ですから、図書館の甲斐です、と挨拶をしました。そのときに、ついでというとおかしいですが、私の名前が角田先生にわかったわけです。それが始めですから、初対面の印象はないと言ってもいいくらいです。どなたか知らないままに2、3日過ごしていました。こちらも図書館は初めてですから、一心だったのです。

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