「早稲田大学創立125周年記念シンポジウム:角田柳作—日米の架け橋となった“Sensei”—」開催報告
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角田先生の思い出(3) 010203040506
甲斐美和 元コロンビア大学図書館司書(録画)
宗像和重(早稲田大学図書館副館長):角田先生の教え方やお話の様子など、やはり先ほどのように1人でも100人でも学生がいれば夢中になってお話しされる。
甲斐美和:それこそもう、それを見ているだけでも感激してしまうのです。その内容がわかってもわからなくても熱意で。それでも日本を専攻される学生は4、5人程度ですから。言葉は別ですが。
宗像和重(早稲田大学図書館副館長):そういう学生に向かって熱心に語りかけて、身を乗り出したりされるのでしょうか。
甲斐美和:ええ。小さな黒板がありましてね。壁全体の黒板は今方々にありますが、そのときは衝立のような黒板で、その一面漢字でいろいろなレファランスやトピックや何かを書かれるのです。読めても読めなくても、それは必ずされるのです。教室の時間の前にいらして、書き詰めるわけです。それをこうだ、ああだ、と指すわけなのですが、最初は読める人がいないのです。それでも。そのためにこんなに参考書類を机に並べて、話しながらこうだ、と示すわけです。相手は読めないのですよ。それがやはり日本語を勉強しなくては、というヒントです。それで皆さん、ドナルド・キーンにしてもド・バリーにしても一生懸命に日本語を…海軍の日本語は通り一遍の日本語だったでしょうから、漢文まで勉強されました。
宗像和重(早稲田大学図書館副館長):今お話に出ましたように、ド・バリー先生、キーン先生をはじめとして、角田先生の門下生の方々は、いろいろな分野で世界的な研究者や学者を多く輩出されていますが、やはりそれはそういう人々を惹きつけるような角田先生の魅力というか、力のようなものがあったのだと思いますが、身近にご覧になってそういう角田先生の魅力、学生たちに与える影響はどういったものでしたか。
甲斐美和:熱を上げて講義されるのです。普通の先生ですと、ノートか何かがあってその順序でいくのでしょうが、話の都合でほかの話が入ってきたりして、それが本当に…先生は授業の前に図書館に見えて、私がお手伝いするのですが、著者の生年月日などを書き入れるのです。こういうカードが好きで、それで何枚か持っていかれるのです。書名などもあっただろうと思いますが、一旦教室に入るとそういうカードはご覧になりません。みな空で、それこそ熱弁と言っていいでしょうね。本当に自分がその勉強の中に入り込んでいるのです。ですから、仮に学生が退屈して眠ろうと思っても眠れないほどの熱がそこにあるのです。本当に夢中で講義されるのです。それに打たれます。私などは分野が全然違いますが、それを聞いているだけで、その内容がわかってもわからなくても、その意気込みで講義を聞いてしまうのです。参考書類をかついでは出席なさったわけです。

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